リカバリーウェアのサイトやCMで「一般医療機器」または「一般医療機器届出商品」と記載されているのを見たことがありませんか?
昨今、数多くのブランドがリカバリーウェアを販売していますが、そのほとんどが「一般医療機器」として厚生労働省に届出されています。
本コラムでは「一般医療機器とは?」について医療機器製造メーカーの開発担当者が解説していきます。
そもそも医療機器とは?
医療機器とは国が定めた厳しい製品基準をクリアし、特定の治療や健康維持への効果・効能を謳うことが法的に認められた製品を指します。
医薬品医療機器等法(薬機法)で定められた医療機器には、使用上のリスクの大きさにより3つのクラスが設けられています。
| 分類 | 使用上のリスク | 品目 |
| 一般医療機器(クラスI) | 極めて低い(安全) | リカバリーウェア、絆創膏、メス、聴診器、眼鏡など |
| 管理医療機器(クラスII) | 比較的低い | 家庭用マッサージ器、電子体温計、電位治療器など |
| 硬度管理医療機器(クラスIII・IV) | 高い(使用に注意が必要) | コンタクトレンズ、ペースメーカーなど |
この中で一般医療機器のみ、販売する上で免許や届出が不要となっています。
あくまで販売する上での話ですので、製造においてはもちろん製造販売業許可証や届出が必要ですが、製造許可を取得しているメーカーから仕入れることで、ショップとして複雑な手続きなどは不要となります。
「法的根拠に基づいた効果効能の訴求」に対して販売の自由度が高いことが、リカバリーウェア販売の参入ハードルを下げている大きな要因です。
つまり専門のショップでなくてもリカバリーウェアの販売は可能ということですね。
また、3つのクラスのうち一般医療機器については「疲労回復」「血行促進」などの効果・効能をメーカー側が届出するだけで、厚労省がそれぞれの効果について審査を行うわけではありません。
もちろん科学的根拠(エビデンス)については提出が必要ですが、厚労省のスタンスとしては「効果についてはメーカーがきちんと責任を取ってね」という感じです。
筆者自身、医療機器メーカーの開発担当として一般医療機器の届出に関わったことが多々ありますが、基本的に書類が揃っていればフリーパスです。
あくまで一般医療機器は「届出済み商品」であって国が個別に審査した「認可商品」ではありません。
つまり消費者は、購入するリカバリーウェアブランドが「本当に信用できるのか」見極める必要があるんです。
(こんなことを書いたら業界から睨まれそうですね・・・)
医療機器メーカーが販売しているわけではない?
リカバリーウェアを含む医療機器の製造には「医療機器製造販売業」の許可を各都道府県から取得する必要があります。
たとえ海外の工場で委託製造するとしても、医療機器として販売するには委託製造を発注する事業者が医療機器製造販売業の許可を得ていなければいけません。
ただし、前述した通り許可を取得している医療機器メーカーから届出済み商品を購入(仕入れ)すれば、最終的に消費者へ販売するブランド・ショップが特別な許可などを取る必要はありません。

私が知る限り、昨今のリカバリーウェアブームにより数十個以上のブランドがオリジナル商品としてリカバリーウェアを販売していますが、その90%以上が医療機器製造販売業を取得している医療機器メーカーではありません。
実際に自社で医療機器製造販売業を取得して製造・販売まで行っているブランドとしては、リカバリーウェアのパイオニアである「ベネクス」が挙げられます。
ベネクスは2021年に「第三種医療機器製造販売業許可」を取得してクラスI「一般医療機器」の自社製造が可能となりました。
また、磁気ネックレスでも有名な「コラントッテ」は「第二種医療機器製造販売業許可」を取得し、一般医療機器よりクラスが上の「管理医療機器」に分類されるリカバリーウェアを販売しています。
その他にも2,3社ほど自社で医療機器を製造できるリカバリーウェアブランドを知っているのですが、私が調べた限り公表されていないようなのでここで書くのは控えたいと思います。
もちろん医療機器メーカーが製造・直売というのはものすごいアドバンテージですが、その他のブランドが良くないというわけではありませんのであくまで1つの指標としてお考えくださいね。
(保険をかける筆者)
一般医療機器だから安心?リライブシャツは?
前述した通り、一般医療機器は「疲労回復」「血行促進」などの効果・効能をメーカー側が届出するだけで、厚労省がそれぞれの効果について審査を行うわけではありません。
ですので「メーカーの言ったもん勝ち」のような状況が発生しないとは限らないのですが、血流改善試験や遠赤外線の輻射試験などきちんとした機関での検査結果の提出は必要ですので、一定の効果・効能は担保されていると言えるでしょう。
また、これだけ注目を集める商品カテゴリになったことから、効果の無い商品を販売することに対するリスクは非常に大きいため、メーカー側は効果・効能について細心の注意を払って製造しているはずです。
ちなみにテレビCMで一斉を風靡したリライブシャツですが、元々は一般医療機器として販売していましたが、2025年11月に一般医療機器という名称を外し自主回収を行いました。
これは2025年8月に厚労省が「医療機器として認められる衣類」の基準を厳格化したことが理由です。
簡単に言うと「今までリライブシャツは医療機器だったけど、新しい基準では医療機器とは言えないよ」と厚労省から急に言い渡された形です。
リライブシャツは他のリカバリーウェアと違い、衣類の全体に鉱石が配合されているわけではなく、体の一部分に効果が出るよう鉱石プリントをしていたのが除外の理由ですが、だからと言って医療機器としての効果が無かったわけではありません。
あくまで国の基準が変わったことで医療機器という枠から外れただけで、血行促進などのエビデンスは取れていたはずです。
「医療機器の方が安心だけど、医療機器じゃなくても良い商品はある」ということです。
最後に
おそらく他のブログや情報サイトでは書かれていない「業界的には常識だけど消費者の知らない事情」を赤裸々に語ってしまいましたが、医療機器メーカーに在籍する筆者としてはリカバリーウェアの流行は日本人の健康を促進する上で非常に良いことだと考えています。
これだけ医療機器が流行し、国民が関心を持ったのはピップエレキバン以来ではないでしょうか。
(ちなみにエレキバンはクラスIIの管理医療機器です)
リカバリーウェアを選ぶ上でぜひ参考にしてくださいね。


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